ざぶん ざぶん

石川県知事賞/国際SDGs賞

多様な価値観や生き方を認め合う社会へ、芸術的なアプローチ

団体概要

団体名
Dance Well石川
活動期間
2018年12月〜(年10〜12回)
継続予定
3年〜
構成人数
大人5名
SDGsテーマ
ダンス・ウェル@金沢21世紀美術館
ダンス・ウェル@石川県立歴史博物館

選考委員からのメッセージ

「自分のことも他人のことも評価しない」という考え方が、障がい者、健常者分け隔てなく広まることがSDG'sにつながるということを学びました。

個性や価値観を認め合い、誰もが自由に表現する芸術活動として興味深いです。多くの方が楽しめる活動が広がることを期待します。

活動内容

五感や記憶を刺激し身体で表現する芸術

 ダンス・ウェル(Dance Well)は、パーキンソン病と共に生きる方々を含む、年齢や経験を問わずあらゆる人を結びつける芸術活動です。ダンス・ウェルの活動目的は、私たちの社会にある多様な価値観や生き方を認め合い、誰もがその一員として生きやすい創造的で力強い社会となることを芸術的なアプローチと共に試みることです。主な特徴は、治療・リハビリ・セラピーとしてではなく、芸術表現活動として行うこと/自分自身も他人のことも評価をせず正解や不正解を問わないこと/単発のイベントやプロジェクトではなく、継続可能な活動として地域に根付かせることなど。参加者の身体や心を解放して生まれる個性的な表現や多様な価値観を認め合い、興味があれば誰でも参加できる包摂的な性質が魅力です。
 ダンス・ウェルが参加しやすい理由は、ダンスの「技術」や「型」を習得することが目的ではないからです。私たちの身の回りにある自然環境や歴史的な環境、さらにアート作品が設置され感性をくすぐられるような芸術的な空間を活用し、色や形、音や匂い、季節や言葉などから参加者ひとりひとりの五感や記憶を刺激し、そこから生まれる思いを身体で表現する「手法」だからです。パーキンソン病とともに生きる方にとっては自分の内面にあるイメージを引き出して身体で表現することで動かしづらくなった身体が動かしやすくなることがあるため、表現することの喜びと同時に、低下した運動機能が緩和されたり、気持ちが明るくなったりといった満足感が得られます。私たちの活動には他にも肢体障がいのある方や子ども、子育て世代、アーティスト、教育者など様々な経歴の方にご参加いただいています。私たちがミックスグループと呼んでいる、様々な個性の混ざり合いは思いがけない豊かな表現と新しい価値を生み出す源になるのです。ダンス・ウェルのWellには「調子が良い」という意味のほか、「源泉」という意味があります。

活動をはじめたきっかけ

社会の誰もとりこぼすことのない活動を

 2018年夏にイタリアのバッサーノ・デル・グラッパ市で2013年よりCSC現代演劇センター主宰により実施されているプログラム、DanceWellのティーチャーズコースをダンス・アーティストのなかむらくるみと舞台芸術制作者の黒田裕子が受講。パーキンソン病と共に生きる人たちをはじめ難民、ユースなど社会の誰も取りこぼすことなく、各々が自由に身体で表現できる幸せなひとときを共有できる内容に感銘を受け、2018年11月に日本で初めて石川県金沢市でダンス・ウェルを開催。同時になかむらが日本人で初めてDanceWell講師に認定されました。好評を得て、2019年2月より月に1度のペースで市内の美術博物館やアートギャラリーなどでクラスを開催するようになりました。

活動を通して学んだことや感じたこと

誰にとっても居場所であり続けること

 ダンス・ウェルの一つの特徴である「自分のことも他人のことも評価しない」という考えの元、活動をしています。それはつまり年齢や経験値や心身の状態に関わらず参加できる活動としての基盤になっており、誰にとっても居場所であり続けることの基盤となる考え方として大切にしています。約5年間活動を継続する過程で参加者も運営する私たち自身もが緩やかなコミュニティを形成し、与える・与えられる関係性ではなく相互関係が築かれていることを感じています。そして誰にも表現する能力があり、権利があり、表現できる場所があることをこの活動を通して実践することで、翻っては広く社会へ発信する力を個々が担うことへ繋がってくるのだと考えます。

活動継続のためにしている工夫

創意工夫を持って新しいことにチャレンジ

 活動に対する熱意と想いを企画にどう反映させていくか、創意工夫を持って常に新しいことにチャレンジしていくことが必要だと思います。私たちは定期的な活動(月にほぼ一度のクラス開催)を基本活動としていますがそこに留まらず環境や時勢を捉えてワクワクする企画も打ち出していきたいと思っています。首都圏や関西圏、そしてイタリアにいるダンス・ウェルの仲間との連携や金沢市内のギャラリーや公共施設、民間企業や応援してくださる人との連携も欠かせません。それを実現させるための日頃のコミュニケーションを絶やさないことや予算の確保も喫緊の課題です。何より、遊び心を忘れず楽しみながら活動を続けていければ良いと考えています。

ダンス・ウェル@金沢市立玉川こども図書館
ダンス・ウェル@山代温泉

活動略歴

2018年8月
イタリア、バッサーノ・デル・グラッパ市で開催された Dance Wellティーチャーズコースになかむらくるみと黒田裕子が参加
2018年11月
石川県金沢市でダンス・ウェルトライアルクラスを開催、同時になかむらくるみが日本人で初めてDance Well講師に認定される
2018年12月
なかむらと黒田がDance Well石川実行委員会(構成員5名)を立ち上げる
2019年2月~
金沢市内の美術博物館やアートギャラリーなどで定期クラス(月1回)開始
2019年7~8月
東京都美術館より展覧会関連プログラムを受託
2019年12月
なかむらがNational Kaohsiung Center for theArts-Weiwuying(台湾)に招聘されクラスを実施
2020年3月~
コロナ禍で定期クラスのオンラインプログラム開始
2020年9月
初映像作品「TDN of TDP」発表
2021年8月
東京都美術館より展覧会関連プログラム受託
2021年9月
石川県立美術館より展覧会関連プログラム受託
2019~2022年度
金沢市「協働のまちづくりチャレンジ事業」採択
2024年3月
「社会的処方EXPO2024」にてプレゼンテーションを行う。