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審査員特別賞/環境SDGs賞

竹と農業の力で地域を元気にする取り組み

団体概要

団体名
長崎県立諫早農業高等学校 生物工学部 放置竹林対策班
活動期間
2020年6月〜(年300回)
継続予定
8年〜
構成人数
高校生8名
SDGsテーマ
連携農家での集合写真
地域イベントにて研究報告の様子

選考委員からのメッセージ

竹林は1年放置すればすぐ荒れ果ててしまいます。これを有効活用できればとてもすばらしいことですね。さらに研究を重ねて発展させてください。

竹成分による「そうか病」発生率0%達成や放置竹林伐採活動への参加など、環境保全の担い手としての気概を感じます。

活動内容

高校生と地域の未来づくり

【馬鈴薯栽培実験】
 令和2年から毎年地元の放置竹林伐採活動に参加している。伐採した竹は専用の粉砕機で“竹パウダー”にし実験に活用してきた。竹の除草効果を期待して除草剤としての栽培実験中、馬鈴薯そうか病の発生が少ないことに気付いた。そこで竹成分に馬鈴薯そうか病の抑制効果があるのでは、と仮説を立てた( 令 和2・3年 )。そこで、1㎡に竹パウダーを1リットル・3リットル・5リットル・7リットル・10リットル・15リットル添加区を設定し対照区(化成肥料)及び、そうか病対策農薬区の計71区分の栽培実験を行った。結果は、対照区と比較して抑制効果を確認できた(令和5年)。また、令和6年度は添加量3リットル区でそうか病の発生率0%を記録した。しかし、農家の方の圃場においては、施肥されている肥料の関係で土壌のpHが異なり、圃場ごとの適正な添加量を特定できなかった。今後も栽培を継続し、適正量を求めたいと思う。
【そうか病菌抑制実験】
 長崎県農林技術開発センター病害虫研究室の室長の菅様より「他の条件を排除した、培地上での抑制効果を確認してみては」との助言をいただいた。そこで、バイオテクノロジーの授業で学習した病原菌の単離培養を実施。培養した菌を、植物病理学に詳しい南九州大学の菅野教授に確認していただいた。菅野教授より「そうか病菌らしきものが確認できます」とコメントをいただき、同大学にてPCRを用いた菌の同定実験を行った。また、長崎大学薬学部にて、そうか病菌に抽出した竹成分の添加実験を行い抑制効果が確認された。専門機関との連携によりついに私たちの仮説を科学的に証明できた。
【普及活動・情報発信】
 栽培農家や専門機関の方に活動を知ってもらうため研修会に参加した。また、環境をテーマとしたオンライン発表や、専修大学主催の社会学会にて放置竹林の危険性と竹の活用にて発表を行った。昨年8月には、フランス大使館にて環境保護活動の事例として意見交換を行い、同年9月には韓国の実業高校にも取り組みについて報告を行った。今年の7月には、「地域の環境問題への取り組み」をテーマとして、地域でのイベントや、県内の高校の先生方を対象とした研修会でも発表を行った。これらの活動はテレビや新聞、また大手菓子メーカー「カルビー株式会社」の社内誌にも掲載していただくなど、活動を全国そして世界に発信できた。

活動をはじめたきっかけ

竹で拓く未来の農業と環境保全

 授業にて「農業と環境」の中で森林や生態系の役割について学習した。日本の竹林面積は1950年代と比べておよそ2倍の17万haである。竹は地表面の約10~40cmほどしか根をはらないため、土壌を保持する力が弱く、近年発生している土砂災害の原因の1つとも言われている。また長崎県の耕作放棄地率は全国1位であり、耕作地に侵入した竹が機械化を妨げており、特に山間部では耕作放棄地拡大の原因となっている。耕作放棄地の拡大に伴い特産品である馬鈴薯の栽培面積も昭和54年をピークに62.8%減少している。竹を伐採し竹パウダーとして活用することで、環境改善にも繋がり耕作放棄地削減及び、特産品馬鈴薯の栽培面積拡大にもつながると考えた。そこで授業内容を活かし、研究目的を①放置竹林の減少および地域環境の保全。②特産品活用での地域農業の活性化。この2つを目標に竹の農業での有効活用を目指して研究を開始した。

活動を通して学んだことや感じたこと

環境と地域の大切さ

 何気なく見ていた山林の多くに、竹が多く侵入していることや、放置竹林による土砂災害の危険性について学ぶことができた。地域環境を改善することで、地元の特産品の栽培面積拡大にも繋がり、地域農業の活性化にも繋がることを学んだ。このような取り組みは、私たちの力だけでは進めることはできなかったと思う。多くの方が協力によりここまで進めることができた。現在は、放置竹林伐採活動にたくさんの方が参加されているが、地域の環境はやはり、そこで生活される方が環境に興味関心を持つことが大切だと感じた。毎年竹を伐採しても翌年には繁茂し、竹林を管理する難しさを痛感する中で、環境問題に終わりはなく、継続した取り組みが必要であると思う。そうか病菌実験では、実験を繰り返して仮説を証明することができた。この取り組みを通して、常に事象を観察し、そこから何が考えられるかを、常に考えて行動することの大切さを学んだ。

活動継続のためにしている工夫

未来へつなぐために

 多くの方々に放置竹林問題を知ってもらうため、普及活動や情報発信を行っていきたい。また、農家の方にも協力をお願いして地域によって異なる圃場など、その場所に応じた添加量にしていきたい。環境改善は次世代にも繋いでいくことが大切なので、環境イベントへの参加やパンフレットを配布して手に取って分かってもらえるようにしていく。研究が行き詰まった時には、先生や専門家の方々のアドバイスをもらい、協力体制を作っていく。このように、自分たちも仲間と協力をしてお互いに意見を言い合うことで、新しい気付きにも繋がり挑戦することを積極的に行っていけると思う。

竹を粉砕している様子
南九州大学訪問、そうか病単利培養実験

活動略歴

2024年の主な活動
馬鈴薯及びブロッコリー栽培実験
そうか病菌単離培養実験
南九州大学菅野善明教授来校
有限会社長崎理化学来校
南九州大学にてそうか病菌同定実験
長崎新聞掲載
竹成分によるそうか病菌の抑制を確認
地元の放置竹林伐採活動に参加
専修大学来校
長崎大学薬学部訪問
在日フランス大使館にて研究報告
韓国江原特別自治道教育庁教育団への研究報告
地元イベントエコフェスタに参加
JA長崎県中央会真壁会長への情報発信
2025年の主な活動
馬鈴薯・ブロッコリー栽培実験
地元放置竹林伐採活動に参加
地域イベントにて研究報告・県内高校の先生方に研究報告